変形性膝関節症と扁平足|足のアーチ低下が膝痛を引き起こす理由
「昔から偏平足だけれど、膝の痛みと関係があるのでしょうか?」
PHYSIOでも、このようなご相談をいただくことがあります。
変形性膝関節症(膝OA)の原因は加齢や体重増加、筋力低下など様々ですが、近年では足部機能、とくに足のアーチ構造が膝関節への負担に影響する可能性が注目されています。
足は身体の土台です。
土台となる足部の機能が低下すると、その影響は膝や股関節にまで及ぶことがあります。
今回は、扁平足と変形性膝関節症の関係について、理学療法士の視点から解説します。
扁平足とは?
扁平足とは、一般的に足部内側縦アーチが低下した状態を指します。
足の内側には、踵から母趾にかけて弓状のアーチが存在しています。
このアーチは、
- 衝撃吸収
- 荷重分散
- バランス保持
- 推進力の生成
など、歩行時に重要な役割を担っています。
しかし、何らかの原因によってアーチが低下すると、足部の機能が十分に発揮できなくなることがあります。
なお、アーチの高さだけでなく、足部の動きや柔軟性も重要であり、単純に「アーチが低い=悪い」とは言い切れません。
扁平足で膝に負担がかかるメカニズム
足部の過回内が起こる
扁平足では、歩行時に足部が内側へ倒れ込む**過回内(オーバープロネーション)**を伴うことがあります。
過回内が生じると、
- 距骨が内側へ傾く
- 脛骨が内旋する
- 膝が内側へ偏位する
という連鎖が起こりやすくなります。
膝関節内側への負担が増える
脛骨が過剰に内旋すると、膝関節のアライメントにも影響します。
特に、
- 膝関節内側コンパートメント
- 膝蓋大腿関節
へのストレスが増加する可能性があります。
変形性膝関節症では、もともと膝内側に負担が集中しやすいため、足部機能の低下が症状に影響する場合があります。
歩行パターンが変化する
扁平足では、
- 歩幅の減少
- 歩行速度の低下
- 立脚期の不安定性
などがみられることがあります。
このような歩行パターンの変化は、膝痛の一因となる可能性があります。
変形性膝関節症との関連
アメリカの大規模研究では、扁平足傾向を有する人は膝痛を有する割合が高いことが報告されています。
また、足部アライメント異常は、膝関節軟骨への負担増加と関連する可能性も示唆されています。
ただし、すべての扁平足の方が膝痛になるわけではありません。
重要なのは、
- 足部の柔軟性
- 足関節可動域
- 筋力
- 歩行様式
- 靴
などを総合的に評価することです。
PHYSIOでも、膝痛の評価では必ず足部機能を確認しています。
自宅でできる扁平足チェック
1.足跡を確認する
お風呂上がりなどに足裏を濡らし、紙の上に立ってみましょう。
土踏まず部分の接地面積が大きい場合、扁平足傾向の可能性があります。
ただし、足跡だけでは正確な判断はできません。
2.片脚立位を確認する
片脚立位を行った際に、
- 足部が大きく内側へ倒れる
- バランスが取りにくい
場合には、足部機能低下が存在するかもしれません。
3.靴底の減り方を確認する
靴底が極端に内側だけ減る場合は、足部の過回内が生じている可能性があります。
扁平足への対策
足部筋トレーニング
足部内在筋や下腿筋群を鍛えることは、足部機能改善に役立つ可能性があります。
代表的な運動として、
- ショートフットエクササイズ
- タオルギャザー
- カーフレイズ
などがあります。
足関節の柔軟性改善
足関節背屈制限が存在する場合、足部の過回内を助長することがあります。
ふくらはぎや足関節の柔軟性改善も重要です。
詳しくは、
▶︎【足首が硬いと膝が痛くなる?】の記事をご覧ください。
靴を見直す
柔らかすぎる靴や、踵が不安定な靴は足部を不安定にする場合があります。
膝痛のある方では、
- 踵部がしっかりしている
- 適度なねじれ剛性がある
- 足長・足囲に合っている
靴を選ぶことが大切です。
▶︎【変形性膝関節症の方におすすめの靴】の記事も参考にしてください。
インソールを活用する
足部アライメントや歩行特性によっては、インソールが役立つ場合があります。
ただし、インソールは全員に必要なわけではありません。
適応を見極めるためには、足部評価や歩行分析が重要です。
▶︎【変形性膝関節症にインソールは有効?】の記事もご覧ください。
PHYSIOで行っている足部評価
PHYSIOでは、膝痛のある方に対して、
- ポドスコープ
- フットプリント
- FPI(Foot Posture Index)
- 歩行分析
- 足関節可動域評価
- 靴評価
などを行い、足部機能を総合的に確認しています。
膝だけでなく、身体全体の動きを評価することで、より適切な介入につなげています。
まとめ
扁平足そのものが必ずしも膝痛の原因になるわけではありません。
しかし、足部アーチの低下や足部機能の低下は、変形性膝関節症の症状に影響する可能性があります。
もし、
- 扁平足が気になる
- 膝の内側が痛い
- 長時間歩くと膝が痛む
- 靴がすぐに片減りする
という方は、一度足元から身体を見直してみることをおすすめします。
膝痛を考えるときには、膝だけでなく「足部機能」にも目を向けることが大切です。
参考文献
Gross KD, et al. Association of flat feet with knee pain and cartilage damage in older adults. Arthritis Care Res. 2011.
Levinger P, et al. Foot posture in people with medial compartment knee osteoarthritis. J Foot Ankle Res. 2010.
Neal BS, et al. Foot posture as a risk factor for lower limb overuse injury. J Foot Ankle Res. 2014.







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