はじめに
骨粗鬆症というと、
「高齢者の病気」
「閉経後の女性に多いもの」
というイメージを持たれる方が多いかもしれません。
たしかに骨粗鬆症は、加齢や閉経後のホルモン変化と深く関係します。
しかし、骨粗鬆症の予防という視点で見ると、実は子どもから思春期にかけての過ごし方がとても重要です。
さて、骨は一生同じ状態ではありません。
成長期に骨量を増やし、成人後はそれを維持し、加齢とともに少しずつ減少していく3段階のフェーズがあり、20歳頃までにピークに達し、その後40歳頃までは維持され、以降は徐々に減少していくと説明されています。
つまり、将来の骨を守るためには、若い時期にどれだけ骨の“貯金”をつくれるか
が大切になります。
骨量のピークは20歳頃までに決まる
骨量が大きく増えるのは、主に成長期です。
資料では、骨量が最も増える時期は思春期の前半から中頃で、女性では11〜15歳、男性では13〜17歳頃とされています。最大骨量に達するのは、女性で18歳頃、男性で18〜20歳頃と説明されています。
この時期に十分な栄養、適度な運動、睡眠が確保できていると、将来の骨粗鬆症予防につながりやすくなります。
反対に、成長期に無理なダイエットや過度なトレーニング、睡眠不足が重なると、骨の成長に悪影響を与える可能性があります。
PHYSIOでは、骨づくりを
「カルシウムを摂ること」だけではなく、
食事・運動・睡眠・身体の使い方を含めた総合的な健康づくり
として考えることが大切だと考えています。
骨をつくるために大切な3つの基本
1. バランスのよい食事
骨の材料としてよく知られているのがカルシウムです。
カルシウムは、牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品、小魚、大豆製品、小松菜、わかめなどに多く含まれます。資料では、成長期には1日1,000mg以上のカルシウム摂取を目標にすることが示されています。
ただし、骨づくりに必要なのはカルシウムだけではありません。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、ビタミンCも骨づくりに関係します。たんぱく質は身体全体をつくる基本の栄養素であり、骨や筋肉の成長にも欠かせません。
なお、乳製品と骨の健康については、「乳製品を多く摂る国ほど骨折が多いのではないか」という議論があります。
ただし、国ごとの比較では、平均寿命、高齢者の割合、日照時間、運動習慣、転倒リスク、医療・診断体制など多くの要因が重なるため、乳製品だけが原因とは言い切れません。
また、研究では牛乳、ヨーグルト、チーズで結果が異なることもあります。乳製品を一律に「良い」「悪い」と決めるのではなく、カルシウム、たんぱく質、ビタミンD、マグネシウムなどを含めた食事全体と、運動・日光・睡眠を合わせて考えることが大切です。
カルシウムは不足しても問題ですが、サプリメントなどで過剰に摂る必要もありません。食品から無理なく摂り、必要に応じて専門家に相談しながら調整しましょう。
一方で、加工食品や清涼飲料水などに多く含まれるリンを過剰に摂ると、カルシウムの吸収を妨げる可能性があるため、摂りすぎには注意が必要です。
2. 適度な運動と日光を浴びる習慣
骨は、適度な刺激が加わることで強くなります。
歩く、走る、ジャンプする、階段を上るなど、体重を支える運動は骨に刺激を与えます。
また、屋外で活動して日光を浴びることも大切です。
日光を浴びることで、皮膚でビタミンDがつくられ、カルシウムの吸収を助けます。資料でも、外に出て日光を浴び、身体を動かすことの重要性が説明されています。
現代の子どもたちは、受験、スマートフォン、ゲーム、室内活動の増加などにより、以前よりも外で身体を動かす機会が減りやすい環境にあります。
「スポーツをしているかどうか」だけでなく、
日常生活の中でどれくらい歩いているか、外で遊んでいるか、身体を動かす習慣があるかを見ることも大切です。
3. 十分な睡眠
成長期の身体づくりに睡眠は欠かせません。
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、骨や筋肉を含めた身体の成長に関わります。資料でも、ぐっすり眠ることは骨づくりに大切だと説明されています。
夜更かしが続く、睡眠時間が短い、朝起きられないといった状態が続く場合は、生活リズムを見直すことも骨の健康づくりの一部になります。
注意したいこと:無理なダイエット
特に思春期の女性では、体型への意識が高まり、無理なダイエットをしてしまうことがあります。
しかし、成長期に体重や体脂肪を極端に減らすと、女性ホルモンの分泌に影響し、月経不順や無月経につながることがあります。資料では、無月経が続くと骨量低下につながることが説明されています。
「細いこと」よりも、
しっかり食べて、動いて、眠れる身体
をつくることが大切です。
体重だけで判断するのではなく、疲れやすさ、月経の状態、食事量、睡眠、運動量などを含めて身体全体を見ていく必要があります。
注意したいこと:やりすぎのスポーツトレーニング
運動は骨づくりに重要ですが、やりすぎは逆効果になることがあります。
成長期の骨はまだ成熟途中です。
その状態で過度な練習量、休養不足、食事制限が重なると、疲労骨折や骨の発育への悪影響につながる可能性があります。
資料でも、成長期に激しいトレーニングを行う場合は、骨折リスクへの注意が必要であることが示されています。特に、マラソン、バレエ、新体操など、低体重や体型管理が求められやすい競技では、食事制限への注意が必要とされています。
子どもの競技力を伸ばしたいときほど、
「練習量を増やす」だけでなく、
食事・睡眠・休養・痛みのサイン
を丁寧に確認することが大切です。
骨粗鬆症予防は「高齢者だけの話」ではない
骨粗鬆症は、骨量が減り、骨がもろくなることで、ちょっとした転倒や外力でも骨折しやすくなる状態です。資料では、65歳以上の約3分の1が骨粗鬆症にかかっているというデータも紹介されています。
高齢期の骨折は、痛みだけでなく、歩行能力の低下、活動量の低下、介護リスクの増加にもつながります。
だからこそ、骨粗鬆症予防は高齢になってから急に始めるものではなく、
成長期からの生活習慣、成人後の運動習慣、加齢期の転倒予防
をつなげて考える必要があります。
PHYSIOが考える「骨を守る身体づくり」
PHYSIOでは、骨の健康を考えるとき、栄養だけでなく、身体の動き方や姿勢、筋力、バランス能力も大切にしています。
たとえば、骨量が十分でも、転びやすい身体であれば骨折リスクは高まります。
反対に、骨量が低下していても、筋力やバランス能力を高め、転びにくい身体をつくることで、骨折予防につなげることができます。
子どもから高齢者まで、骨を守るために大切なのは次のような視点です。
- 成長期は、骨量をしっかり増やす
- 成人期は、運動習慣を保ち骨量低下を防ぐ
- 中高年期は、筋力・柔軟性・バランスを整える
- 高齢期は、転倒予防と生活動作の維持を重視する
骨は、毎日の生活の積み重ねでつくられ、守られていきます。
また、骨づくりは「牛乳を飲めばよい」という単純な話ではありません。
大切なのは、
- カルシウムを不足させない
- ビタミンDを確保する
- たんぱく質を十分に摂る
- マグネシウムなどのミネラルも含めて食事を整える
- 荷重運動や筋力トレーニングで骨に刺激を入れる
- 転倒しにくい身体をつくる
- サプリメントに頼りすぎない
という総合的な考え方です。
「骨密度」だけでなく「転ばない身体」「折れにくい生活動作」まで含めて骨折予防を考える
という方向が重要です。
まとめ
骨粗鬆症の予防は、高齢になってから始めるものではありません。
特に成長期から思春期は、将来の骨の強さを左右する大切な時期です。
大切なのは、特別なことではなく、
バランスよく食べること
適度に身体を動かすこと
日光を浴びること
しっかり眠ること
無理なダイエットや過度なトレーニングを避けること
です。
将来の骨折予防のためにも、子どもの頃から「骨を育てる生活習慣」を意識していきましょう。
PHYSIOでは、痛みや姿勢、歩き方、転倒予防、運動習慣づくりを通して、年齢に応じた身体づくりをサポートしています。
参考資料
公益財団法人 骨粗鬆症財団
「骨粗鬆症の予防は成長期から ― 骨が育つ思春期までを大切に過ごす ―」
監修:田中弘之 先生







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