足首が硬いと膝のお皿が痛くなる?膝前面痛と足関節背屈制限の関係
「しゃがむと膝のお皿が痛い」
「階段を降りると膝の前が痛い」
「足首が硬いと言われたことがある」
このような方は、足関節の動きが膝前面痛に影響しているかもしれません。
膝のお皿の周囲に生じる痛みを膝前面痛と呼びます。代表的な疾患として、膝蓋大腿関節痛症候群(Patellofemoral Pain Syndrome:PFPS)が知られています。
近年では、膝前面痛を有する方の一部に、足関節背屈可動域の低下がみられることが報告されています。
今回は、膝前面痛と足関節背屈制限との関係について、理学療法士の視点から解説します。
足関節背屈とは?
足関節背屈とは、足首を上方向へ曲げる動きのことです。
例えば、
- しゃがむ
- 階段を降りる
- ランニングをする
- ジャンプ後に着地する
といった動作では、十分な足関節背屈可動域が必要になります。
歩行時にも、身体が前方へ移動する際に足関節は徐々に背屈していきます。
この動きが制限されると、身体は別の方法で動作を補うようになります。
足首が硬いと起こる代償動作
膝が内側へ入る
足関節背屈可動域が不足すると、スクワットや着地動作時に膝が内側へ入りやすくなることがあります。
このような動きをDynamic Valgus(動的膝外反)と呼びます。
Dynamic Valgusが生じると、膝蓋大腿関節へのストレスが増加する可能性があります。
足部が過回内する
足首が十分に曲がらない場合、身体は代償として足部を内側へ倒しながら重心移動を行うことがあります。
これが足部の過回内です。
過回内が生じると、
- 脛骨内旋
- 大腿骨内旋
が起こりやすくなり、膝蓋骨周囲の力学的環境が変化する可能性があります。
詳しくは、
▶︎【扁平足は膝のお皿の痛みの原因になる?】の記事をご覧ください。
体幹前傾が増える
足関節背屈制限がある場合、スクワットや着地時に体幹を過度に前傾させることがあります。
体幹前傾そのものが悪いわけではありませんが、代償が大きくなることで動作効率低下や膝への負担増加につながる場合があります。
スクワットや階段で痛くなる理由
膝前面痛の方が、
- スクワット
- 階段昇降
- ランニング
- ジャンプ着地
で痛みを感じやすい理由のひとつに、膝蓋大腿関節への圧迫ストレスがあります。
足関節背屈可動域が低下すると、これらの動作時に膝関節周囲の力学的負担が変化し、症状に影響する可能性があります。
特にスポーツ選手では、繰り返しの動作によって症状が慢性化することもあります。
ニー・トゥ・ウォールテストで足首をチェックしてみよう
足関節背屈可動域を簡単に確認する方法として、ニー・トゥ・ウォールテストがあります。
方法
1.壁の前に立つ
2.踵を床につけたまま膝を壁へ近づける
3.踵が浮かずに膝が壁につく最大距離を測定する
一般的には、10cm前後以上がひとつの目安とされています。
また、左右差も確認してみましょう。
ただし、測定値だけで問題の有無を判断することはできません。
動作全体を評価することが重要です。
足関節背屈制限を改善する方法
ふくらはぎのストレッチ
足関節背屈制限では、
- 腓腹筋
- ヒラメ筋
の柔軟性低下が関与することがあります。
ストレッチは痛みのない範囲で実施しましょう。
足関節モビリティエクササイズ
足関節の動きを改善する運動として、
- ニー・トゥ・ウォール運動
- ランジ動作
- スクワット
などがあります。
スポーツ選手ではウォーミングアップとして取り入れることも有効です。
足部機能を改善する
足関節だけでなく、
- 足部機能
- 足趾機能
- バランス能力
も重要です。
足部全体の機能を高めることで、動作改善につながる可能性があります。
必要に応じてインソールを活用する
一部の膝前面痛患者では、インソールが役立つ場合があります。
ただし、インソールは全員に必要なわけではありません。
足部評価や歩行分析を行ったうえで適応を判断することが重要です。
詳しくは、
▶︎【膝のお皿の痛みにインソールは有効?】の記事をご覧ください。
PHYSIOで行っている評価
PHYSIOでは、膝前面痛に対して、
足関節評価
- 可動域測定
- ニー・トゥ・ウォールテスト
- 柔軟性評価
足部評価
- ポドスコープ
- フットプリント
- FPI(Foot Posture Index)
動作評価
- 歩行分析
- ランニング分析
- スクワット分析
- 片脚スクワット分析
- 着地動作分析
を実施しています。
膝だけではなく、足元から全身を評価することを大切にしています。
まとめ
足関節背屈制限は、膝前面痛に影響する可能性があります。
特に、
- スクワットで膝が痛い
- 階段を降りると膝が痛い
- 足首が硬い
- スポーツ中に膝が痛い
という方では、足関節機能を確認してみる価値があるかもしれません。
膝前面痛を考える際には、膝だけではなく、足関節や足部機能も含めて評価することが重要です。
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参考文献
Macrum E, et al. The effects of limited ankle dorsiflexion on lower extremity kinematics during a squat. J Orthop Sports Phys Ther. 2012.
Barton CJ, et al. Patellofemoral pain syndrome: the influence of foot posture. J Orthop Sports Phys Ther. 2011.
Willy RW, et al. Patellofemoral Pain. J Orthop Sports Phys Ther. 2019.
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