足関節が硬いと膝が痛くなる?変形性膝関節症と足首の可動域の関係
「膝が痛いのに、なぜ足首をみる必要があるのですか?」
PHYSIOで膝痛の評価を行う際、患者さんからよくいただく質問です。
実は、足関節の動き、とくに足首を上に曲げる動き(背屈)が制限されると、膝関節への負担が増加する可能性があります。
変形性膝関節症(膝OA)の方では、膝だけではなく足関節の可動域低下を認めるケースも少なくありません。
今回は、変形性膝関節症と足関節可動域の関係について、理学療法士の視点から解説します。
足関節の動きは歩行に欠かせない
足関節には、
- 足首を上に曲げる「背屈」
- 足首を下に伸ばす「底屈」
という動きがあります。
このうち、日常生活や歩行に特に重要なのが背屈可動域です。
歩行時には、身体が前方へ移動する際に足関節が徐々に背屈していきます。
十分な背屈可動域が確保されていることで、
- スムーズな重心移動
- 歩幅の確保
- 衝撃吸収
- 安定した歩行
が可能になります。
反対に、足関節が硬くなると、身体は別の方法で動きを補おうとします。
これを代償動作と呼びます。
足首が硬いと起こる代償動作
膝が内側へ入る
足関節背屈制限があると、しゃがむ動作や階段動作で膝が内側へ入りやすくなることがあります。
このような動きは、膝関節内側への負担増加につながる可能性があります。
足部が過回内する
足首が十分に曲がらない場合、身体は代わりに足部を内側へ倒し、動きを補おうとすることがあります。
これが**足部の過回内(オーバープロネーション)**です。
過回内が強くなると、
- 脛骨内旋
- 膝関節アライメント変化
- 歩行効率低下
が生じる可能性があります。
詳しくは
▶︎【変形性膝関節症と扁平足】の記事をご覧ください。
体幹が前傾する
足関節が硬い方では、重心移動を補うために体幹を過度に前傾させることがあります。
結果として、
- 膝伸展モーメント増加
- 大腿四頭筋への負担増加
などが生じ、膝痛に影響する場合があります。
変形性膝関節症患者で背屈制限が多い理由
変形性膝関節症の方では、以下のような要因によって足関節背屈制限がみられることがあります。
1.活動量の低下
膝痛によって歩行量が減少すると、ふくらはぎの柔軟性低下が起こることがあります。
2.歩行パターンの変化
痛みを避ける歩き方が長期間続くことで、足関節の動きそのものが減少することがあります。
3.加齢による組織変化
加齢に伴い、
- 筋肉
- 腱
- 関節包
などの柔軟性が低下することも影響します。
自宅でできる足首の硬さチェック
ニー・トゥ・ウォールテスト
足関節背屈可動域を簡単に確認できる方法として、ニー・トゥ・ウォールテストがあります。
方法
- 壁の前に立つ
- 足を壁から少し離す
- 踵を床につけたまま膝を壁へ近づける
踵が浮かずに膝が壁につく最大距離を測定します。
一般的には、10cm前後以上がひとつの目安とされています。
ただし、年齢や個人差があるため、左右差も確認しましょう。
足首の硬さを改善する方法
ふくらはぎのストレッチ
足関節背屈制限では、
- 腓腹筋
- ヒラメ筋
の柔軟性低下が関与することがあります。
1回30秒程度、無理のない範囲で実施しましょう。
足関節のモビリティエクササイズ
前方への重心移動を伴う運動は、足関節可動域改善に役立つ可能性があります。
例
- ニー・トゥ・ウォール運動
- スクワット
- ランジ動作
ただし、膝痛が強い場合は専門家へ相談しましょう。
靴を見直す
靴のフィッティング不良は歩行パターンに影響を与えることがあります。
特に、
- サイズが大きすぎる
- 踵が不安定
- 靴底が極端に摩耗している
場合には、歩行時の負担が増加する可能性があります。
▶︎【変形性膝関節症の方におすすめの靴】の記事も参考にしてください。
必要に応じてインソールを活用する
足部アライメントや歩行特性によっては、インソールが役立つ場合があります。
ただし、インソールは万能ではありません。
足部機能、歩行分析、靴の状態を総合的に評価したうえで適応を判断することが重要です。
▶︎【変形性膝関節症にインソールは有効?】の記事もご覧ください。
PHYSIOで行っている評価
PHYSIOでは、膝痛のある方に対して、
足関節評価
- 可動域測定
- ニー・トゥ・ウォールテスト
足部評価
- ポドスコープ
- フットプリント
- FPI
動作評価
- 歩行分析
- スクワット動作分析
- 階段動作分析
を実施し、足関節機能と膝痛との関連を確認しています。
まとめ
足関節背屈制限は、変形性膝関節症の症状に影響する可能性があります。
もし、
- 膝が痛い
- 足首が硬い
- 階段がつらい
- 深くしゃがめない
という方は、膝だけではなく足首の動きも確認してみましょう。
膝痛を改善するためには、膝だけではなく「足部から全身をみる視点」が重要です。
関連記事
- 変形性膝関節症と足の関係
- 変形性膝関節症と扁平足
- 変形性膝関節症にインソールは有効?
- 変形性膝関節症の方におすすめの靴とは?
参考文献
Dill KE, et al. Association between ankle dorsiflexion and knee osteoarthritis. J Orthop Sports Phys Ther.
Macrum E, et al. The effects of limited ankle dorsiflexion on lower extremity kinematics. J Orthop Sports Phys Ther. 2012.
Bennell KL, et al. Role of muscle in the genesis and management of knee osteoarthritis. Rheum Dis Clin North Am. 2008.









